高騰する電力賦課金

2022.04.15
コラム

高騰する電力賦課金

高騰する電力賦課金

時代と共に増える電気代

パソコンや携帯電話、タブレット。「家のコンセントが家族の端末で埋まってる!」なんてことはありませんか?「パソコンは一人一台の時代」ともなってくると、気になってくるのが電気料金。さすがに夏冬のエアコン代金に比べれば大したことはないですが、長い時間で見れば馬鹿にできません。毎月の電気代の明細が見るのが嫌になります。

そんな明細ですが、よく内容を見てみると「再エネ賦課金」なる項目があることに気付きます。今回はその賦課金について書いてみたいと思います。実は再生可能エネルギーの普及や太陽光発電と深い関係がある請求項目なんです。

再エネ賦課金とは?

この賦課金の請求は、電気事業者による「再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」という法律に基づいて運用されており、電気使用者の全ての人が支払う義務があります。端的に説明すると「太陽光発電などで発電された電力を電力会社が買い取り、その買い取る金額の一部を、電気を使っている私たち電力消費者も負担し、再生可能エネルギーの普及に貢献する」というものです。
電力会社だけでは、再生可能エネルギーの買い取り費用はもちろん、再エネ電力自体の受け入れや調整には大きな費用負担がかかります。つまり、この賦課金を支払うことで再エネ電力を買い取る電力会社の負担を補い、再エネの普及を目指すということです。

2021年度の賦課金フロー
引用元:経済産業省資源エネルギー庁

ちなみに、再エネ賦課金の単価は全国一律の単価になるよう毎年調整が行われており、賦課金の単価は買取価格等を踏まえて年間でどのくらい再生可能エネルギーが導入されるかを推測し、毎年度経済産業大臣が決めます。22年度は1kWhあたり3.45円と、昨年比で0.09円の値上がりとなりました。目安として一ヶ月の電力使用量が260kWhの方の場合、月額897円(前年比24円増)、年額10,764円(同288円増)の負担額になると試算されています。

再エネ賦課金の単価高騰の影響を受けないために。

この賦課金、お手元の電力会社の明細をご覧になられれば分かりますが、電気を使うすべての人が支払うことになっており、さらに負担額は電気を買って使用した量に比例します。逆に言えば、電気を買わずに太陽光発電で自家消費すれば、賦課金の乗った電気料金を支払う必要はありません
もっというと、蓄電池も導入して余った電力を使い、「買ってくる電気」を減らすことができば、賦課金の影響を受ける値が小さくなります。だからこそ、太陽光発電が生んだ電力を売る「売電」の単価が下がっていても、太陽光発電システムや蓄電池が人気であるのです。
世界の燃料価格と強く相関する電力価格は、ロシアとウクライナの情勢をみても解るように今後の変動は予測できません。

さらに、そういった海外由来の燃料・石炭火力発電からの脱却を目指す限り、我が国では再生可能エネルギーの導入を推進するためにも、賦課金の高騰はまだまだ継続するとみられます。
再生可能エネルギーの電気が普及すれば、日本のエネルギー自給率の向上に繋がります。さらに、エネルギー自給率が向上すると化石燃料への依存度の低下につながり、燃料価格の乱高下に伴う電気料金の変動を抑えられます。

電気を利用する皆にメリットがあるわけですが、自宅のエネルギー自給率も上げ、賦課金の影響を受けないよう、太陽光発電システムや蓄電池を導入することは国の動きとシナジーがあると言えます。

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