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補助金から見る、国の再生可能エネルギー導入促進方針

2023.11.07
コラム

補助金から見る、国の再生可能エネルギー導入促進方針

新日本住設コラム 補助金から見る、国の再生可能エネルギー導入促進方針

 例年より長引いた夏の暑さもひと段落し、10月に入ってからは過ごしやすい季節になってきましたね。今年の夏の猛暑ぶりはすさまじく、冷房にかかる電気代が毎月の家計に重くのしかかりました。この傾向が長期的に続くのなら、どんなにがんばっても節電だけではとても賄えません。出費を抑える目的でも「太陽光発電を導入し、自家発電にしたらどうだろう?」と考えたことがある方も多いのではないでしょうか。

 電気代については、政府が補助を年末まで継続することを発表しています。消費者としてはありがたいことですが、エネルギー供給の多くを海外に頼っている日本では、世界情勢の影響を受けやすく自律的にコントロールすることが困難です。

 根本的に解決するには「自分の設備で発電した電気を自分の家で消費する(自家消費)」が有力な選択肢となります。お得でしかも地球にやさしい、太陽光発電と蓄電池・そして電気自動車(EV)を活用したエネルギー自給自足のライフスタイル。ただし、導入にはコストがかかる・・悩ましいところですね。

クリーンエネルギー関連の補助金が増額の見込み 

 一方、国の方針はどうなっているのでしょうか。

 日本政府は、2020年10月に発表した「2050年カーボンニュートラル」を実現するために、温室効果ガスの排出を削減することを目指し、再生可能エネルギーの導入を促進しています。蓄電池やEVなど、高額な購入価格が購入のハードルとなっている設備について、普及を後押しするために、毎年いろいろな形で補助金が提供されています。

 2023年も8月末頃、翌年度の予算編成に向け、各省庁が取り組みたい事業と必要な費用の見積もりを盛り込んだ要求書を財務省に提出したと発表されました。これは7月に財務省が要求時のルールを示し、それに沿う形で8月末までに各省庁が起案・提出するものです。概算要求を受け、年末の予算案の確定、いわゆる閣議決定に向け議論がなされます。

 今夏も例年通りこの予算要求が提出されたのですが、クリーンエネルギー関連事業の補助金は、なんと合計24事業で総額9,600億円規模にも上りました。

国がクリーンエネルギー利用を促進する理由は?

 政府が税金を投入して補助金を用意し、クリーンエネルギー利用を促進する理由は何でしょうか。改めて考えてみましょう。

① 脱炭素社会の実現

 蓄電池、EVは、再生可能エネルギーの普及に欠かせない要素です。

 太陽光や風力など、自然のエネルギーを利用した発電方法は、天候や気象条件によって発電量が変動するため、安定した電力供給が難しいという課題があります。

 蓄電池は、電気を貯めておく装置です。再生可能エネルギーで発電した電気を蓄電池に貯めておくことで、需要に合わせて電力供給を調整することができ、再生可能エネルギーの導入拡大につながります。

 電気で走るEVについても、より普及することで車から出るCO2排出量を削減することができます。また、EVは大型の蓄電池を搭載しているため、再生可能エネルギーで発電した電気を蓄電して、車の走行に利用することが可能です。

 具体的には、以下のような理由から、蓄電池と電気自動車は再生可能エネルギーの普及に欠かせない要素であると言えます。

  • 再生可能エネルギーの発電量を安定化する
  • 再生可能エネルギーの導入拡大を促進する
  • CO2排出量削減に貢献する

 日本政府は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという目標を掲げており、蓄電池とEVの普及は、この目標達成に不可欠です。

② 経済成長のドライバーとしての期待

 蓄電池とEV産業は、今後大きな成長が見込まれる分野です。日本政府は、蓄電池とEVの普及を促進することで、新たな雇用や産業創出を図り、経済成長を牽引する方針です。

最後は個人の決断

 地球環境のために、温室効果ガスの排出量を限りなく減らす、ゼロにする。国の方針であると同時に、地球に生きる私たち一人ひとりにとっても大きな課題です。

 国や自治体からの補助金は促進策です。どのような暮らし方をするかは、一人ひとりの地球市民としての判断に委ねられています。地球にやさしくあることも、消費する一方であることも、選ぶことができる・・このことを忘れないでいたいですね。

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